江戸わずらいと栄養不足

栄養不足による身体の危機が、うつやパニック症状を引き起こすこともある

現代の日本では栄養失調で亡くなることはないと思われます。

 

ところが僕のみさせて頂く患者さんには、慢性的な栄養不足の方が、かなり多いと感じます。

 

実は、全然食べてない状態や脱水症状で、苦しくなったり、パニック・強い不安になった経験はないでしょうか。実は、僕にもあります。

 

栄養不足による身体の危機が、うつ状態や、パニック時の不安や動悸を強めることも実は結構あるのです。

 

外食・コンビニ弁当では栄養不足になりやすい

外食やコンビニ食では「白米+肉類のおかず」が当たり前です。

私たちは、知らず知らず、そういった食事に慣れてしまっているかもしれません。

 

そういった食事では、五大栄養素のうち、炭水化物、タンパク質、脂質は摂取できるのですが、ビタミンとミネラルは不足する可能性が高いです。

 

炭水化物や脂質はエネルギー源ですが、ビタミンとミネラルは身体の働きを支えたり、身体の材料になったりする大切な要素です。

 

ビタミンとミネラルは、体内で作ることができないので、不足すると「欠乏症(けつぼうしょう)」という病気になってしまいます。

 

「江戸わずらい」という栄養素欠乏症・脚気(かっけ)

ところで日本には昔「江戸わずらい」という名前の病気がありました。

これは、今でいう「脚気(かっけ)」という病気です。

 

神経の障害がおこり歩行も困難になったり、心臓機能の低下も起こる、こわい病気です。

 

昔の日本では、この病気で物凄い数の人が亡くなっているといわれています。

大正時代では年間2~3万はなくなっていたとも。

 

江戸わずらいの原因・白米食の広まりと栄養不足

なぜ「江戸わずらい」という名前かと言うと、江戸時代に玄米ではなく、白米を食べる習慣が広まったからと言われています。

 

玄米には、ビタミンB1や、ミネラル、食物繊維が豊富で、当時の大切な栄養源となっていたのですが、栄養素のある「ぬか」を取り除いて白米にしてしまうと、それらの豊富な栄養素がほとんどなくなってしまったのです。

 

この白米食は、最初、将軍など富裕層から広まっていきました。

徳川将軍もこの病気で亡くなった方がいると言われています。

 

武士層にも広まったので江戸に長期滞在すると、この病気になってしまうことが多かったそうで、それで「江戸わずらい」という名前がついたそうです。

 

しかし「そば」からも、このビタミンB1が補給できたので、関東の食文化はうどんよりそばになっていったとも言われているそうです。面白いですね。

 

他のビタミン欠乏症の例・壊血病(かいけつびょう)

他にも有名なビタミン欠乏症としては、長い航海で新鮮な野菜や果物が食べられないためにかかる「壊血病(かいけつびょう)」という病気もあります。

 

これは、ビタミンCの不足で起きる病気で、身体の組織の維持が悪くなるため、各組織で出血したり、古傷が開くようになる病気です。

 

昔は船に長く乗る船乗りや海軍従事者が、脚気やこの壊血病にかかることが多かったため、栄養メニューや栄養剤が開発された歴史もあるそうです。

 

 

ご飯をしっかり食べないと病気になるというのは、こういったビタミン・ミネラルが補給できないという面もあるので、肉と白米で、ただお腹いっぱい膨れれば充分というわけではないのです。

 

パワーの源!などと、牛丼や焼き肉ばかりたくさん食べればよいということではないのですね。

 

栄養・食事の見直しをしてみよう

玄米食など伝統的な和食の見直しが起きた

脚気など欠乏症の研究や、食事健康法のブームもあり、玄米食も見直されてきてます。

 

無農薬の玄米、 新鮮な緑黄色野菜 伝統的な製法で作られた「みそ」 (発酵食品で、植物性タンパク質が豊富)

 

これら伝統的な日本の食事を中心にするのは、どんな健康食品を食べるより、健康に良いのかもしれません。

 

ただ玄米は、消化吸収は白米より大変なので、ゆっくりよく噛んで食べる事や、食べ過ぎないなど、工夫が必要です。

 

白米のごとく、バクバク早食いしてしまうと消化不良を起こす可能性もあります。

 

本当は西洋式の食事が広まるまで、日本も1日2食だったとも言われていますから、玄米食なら、それくらいの回数がひょっとしたらちょうど良いのかもしれません。

 

慣れてない人や消化が大変になる小さい子供のいるご家庭は、分付きといって、少し削った状態から始めるのもありかもしれません。

(5分付きだと半分。7分付きだと白米に近いという数え方)

 

現代の食生活や個人の食卓に合わせて、アレンジすることも重要です。

 

もっと手軽に 栄養状態の改善に、野菜のスープ

もう一つ、栄養状態の改善には、野菜を何種類か切って煮込んだ・簡単な栄養スープをとることもおすすめです。

 

個人的にはこちらのほうが玄米食より手軽で効果も出やすいとみています。

 

かぼちゃ・にんじん・キャベツ・たまねぎ他、可能であれば、細かく刻んで煮込むのです。少量、無農薬の玄米を煮込んでもいいかもしれません。

 

野菜は、全種類入れなくてもいいですし季節やその時々で選んでいいと思います。

 

胃腸の調子が悪い方は、野菜の具は食べずにスープの汁だけでも構いません。

 

栄養状態が改善され、心身にも良い効果が得られる可能性があります。

 

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